九州地域における台風シーズンが本格化する中、空調機器の室外機を守る対策が重要な課題となっています。台風は毎年のように九州地方を襲い、その度に多くの室外機が被害を受けています。

佐賀県佐賀市を拠点とする株式会社エアーコネクトでは、九州全域で空調設備工事を手がける中で、台風による室外機の被害を数多く見てきました。近年の台風は勢力を強めたまま九州に接近するケースが増えており、適切な対策が不可欠です。本記事では、台風シーズンに向けた室外機の保護対策と事前点検のポイントについて詳しく解説いたします。

 

九州における台風被害の実態


九州地域は地理的特性により、毎年のように台風の直撃を受けています。九州・山口県に接近する台風は年平均約3個となっており、特に8月から9月にかけての台風シーズンには最大級の警戒が必要です。

 

九州地域の台風特性

福岡管区気象台のデータによると、九州地域では近年記録的な気象災害が相次いで発生しています。特に令和4年台風第14号では、佐賀県大浦で潮位301cmを観測し、九州全域で暴風と大雨による複合災害が発生しました。

災害名
発生年月
主な被害地域
特徴
平成29年7月九州北部豪雨
2017年7月
福岡県・大分県
総雨量600mm近い記録的大雨
令和2年7月豪雨
2020年7月
熊本県・鹿児島県・福岡県
大雨特別警報発表
令和4年台風第14号
2022年9月
九州全域
暴風と大雨による複合災害

「参照:福岡管区気象台」

 

室外機被害の実態

台風による空調設備への被害は、強風、大雨、停電の3つの要因により発生します。特に九州地域では台風の勢力が強い状態で接近することが多く、平均風速15m/s以上の暴風により室外機が転倒したり、飛来物によってファンやコイルが破損するケースが頻発しています。

重要ポイント
エアコンの防災対策をしていない人は56.8%と半数以上に上り、台風や地震によりエアコントラブルに見舞われた経験者は21.3%となっています。「室外機が倒れた」「停電で対処方法がわからず困った」などの声が多く寄せられており、事前対策の重要性が浮き彫りになっています。

大手空調メーカーのダイキン工業によると、室外機の転倒により、室外機と室内機をつなぐ冷媒配管に負荷がかかり、その時にできた亀裂や穴から冷媒が漏洩する可能性があるため、転倒した室外機は絶対に自分で起こしてはいけないとされています。

 

台風シーズン前の強風対策

室外機の台風対策では、設置状況の確認と固定の強化が最重要課題となります。屋上設置の室外機については、アンカーボルトの増設や防風ネットの設置を検討する必要があります。

 

風向きを考慮した設置対策

佐賀県周辺では、台風の進路により風向きが大きく変化します。設置スペースに余裕がある場合、地域の風向き傾向を確認し、面積が広い室外機の正面・背面が風を受けない向きに設置することが効果的です。

風向き調査のポイント

過去の台風進路確認:気象庁データで佐賀県への台風接近パターンを調査

地域特性の把握:海岸部、内陸部での風向きの違いを理解

周辺建物の影響:隣接建物による風の巻き込み現象を考慮

設置向きの最適化

正面・背面保護:面積が大きい面を風上に向けない配置

側面接風:室外機の側面で風を受ける設置が理想的

建物陰の活用:建物の風陰を利用した保護設置

「参照:ダイキン工業災害時対処法」

 

基礎・固定の強化対策

強風が吹く場所に室外機を設置する場合、コンクリート製の重い置き台を採用することが推奨されます。また、コンクリート製の置き台の下にゴム製の防振パッドを敷くことで、強風によるズレの防止にも効果があります。

対策項目
標準仕様
強化仕様
効果
置き台材質
樹脂製・軽量
コンクリート製・重量型
転倒抵抗力向上
アンカーボルト
M10×4本
M12×6本以上
固定強度向上
防振パッド
なし
ゴム製防振パッド
滑り防止効果
周辺整理
通常清掃
飛来物撤去
二次被害防止

「参照:九州冷設工業防災対策」

 

事前点検チェックリスト

台風シーズンを前に、定期的な点検により室外機の状態を把握することが重要です。月次点検と台風シーズン特別点検を組み合わせることで、被害を最小限に抑えることができます。

 

月次点検項目

毎月実施すべき基本的な点検項目では、室外機の設置状況と周辺環境の変化を確認します。特に佐賀県のような沿岸部では塩害の影響も考慮した点検が必要です。

点検箇所
確認内容
異常時の対応
アンカーボルト
緩み・錆・損傷の有無
増し締め・交換検討
設置台
水平性・ひび割れ・劣化
レベル調整・補修
熱交換器
目詰まり・腐食・変形
清掃・修理検討
ファン・モーター
異音・振動・回転異常
専門業者点検依頼
配管接続部
冷媒漏れ・保温材劣化
漏れ検査・保温材更新
周辺環境
飛来しやすい物の有無
物品移動・固定強化

「参照:ダイキン工業保守点検基準」

 

台風シーズン特別点検

6月から10月の台風シーズンには、通常の月次点検に加えて特別点検を実施します。気象庁の台風情報をもとに、台風接近の72時間前には完了しておくことが重要です。

機器本体の点検

固定状況確認:アンカーボルトの増し締め実施

排水機能確認:ドレン排水の流れをチェック

電気系統確認:制御盤内の防水・絶縁状態点検

冷媒系統確認:配管接続部の密封性確認

周辺環境の整備

飛来物撤去:半径10m以内の物品固定・撤去

排水路確認:雨水排水路の詰まり除去

避雷設備確認:避雷針の接地抵抗測定

緊急停止準備:ブレーカー位置・操作手順確認

「参照:気象庁台風情報」

 

台風接近時・通過後の対応

台風の接近が予想される際は、段階的な対応により被害を最小限に抑制します。気象警報の発表状況に応じて、適切なタイミングでの対応が重要となります。

 

台風接近時の緊急対応

台風接近48時間前から段階的な対応を実施します。特に風速20m/s以上の強風が予想される場合は、室外機の運転停止を検討する必要があります。

緊急対応の注意点
強風の中でエアコンを運転し続けると、ファンが逆回転したり停止したりすることで高い負荷がかかり、破損するケースがあります。室外機は風速30mまでは耐えられる設計ですが、安全を考慮した早めの運転停止が推奨されます。
時間
対応内容
判断基準
48時間前
最終点検・周辺整理完了
台風警報発表時
24時間前
室外機カバー設置(一時的)
風速15m/s予想時
12時間前
エアコン運転停止
風速20m/s予想時
6時間前
電源ブレーカー遮断
風速25m/s予想時

「参照:気象庁防災情報」

 

台風通過後の確認作業

台風通過後は、安全確認を最優先に段階的な復旧作業を実施します。室外機が転倒している場合は、絶対に自分で起こしてはいけません。小さな亀裂や穴から勢いよく噴き出る冷媒はマイナスの温度になっていることもあり、触れてしまうことで負傷につながる可能性があります。

即座に実施する確認

外観目視確認:室外機の転倒・移動・損傷有無

配管状態確認:冷媒配管の変形・損傷チェック

電気系統確認:制御盤・配線の浸水被害確認

周辺環境確認:飛来物による二次被害リスク評価

専門業者依頼が必要な場合

室外機転倒時:冷媒漏れの危険性があるため要連絡

浸水被害時:漏電・発火リスクのため運転中止

異音・振動時:内部部品損傷の可能性を点検

冷房能力低下時:熱交換器損傷の専門診断が必要

「参照:ハフポスト災害時対応」

室外機が浸水した場合は、エアコンの使用をすぐに中止し、室内機の電源を抜くかブレーカーを切って、販売店へ連絡・相談することが必要です。 電気回路の部品に水が入ってしまった場合、一度乾いても漏電や発火などが起きる可能性があるためです。

 

室外機を守る総合的な台風対策

九州地域における台風シーズンでは、事前の予防対策、適切な緊急対応、迅速な復旧対応の3段階での総合的な取り組みが不可欠です。佐賀県佐賀市を拠点とする株式会社エアーコネクトでは、九州地域の気候特性を熟知した専門技術者が、お客様の空調設備に最適な台風対策をご提案しています。

台風による室外機の被害は、適切な事前対策により大幅に軽減できます。特に風向きを考慮した設置、基礎固定の強化、定期的な点検の実施により、安全で確実な空調システムの維持が可能となります。台風シーズンを迎える前に、ぜひ室外機の保護対策と事前点検の見直しをご検討ください。


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